上田研究室の研究分野

情報理工学科4年生向け紹介資料

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概要

先端的コンピューティングの原理およびプログラミングの根幹技術の開拓をミッションとして, 次の各分野で,基礎理論,言語設計, システム構築の三面から取り組んでいます.

 (a) 先端的プログラミング言語
 (b) 高性能検証 (high-performance verifcation)
 (c) ハイブリッドシステム

これを通じて, 必要以上に複雑になりすぎた(と思いませんか?)現在のコンピュータ技術の概念整理を進め, 次世代のコアCS(computer science)を確立することを究極の目標としています.

解説

高度,高品質,高性能なソフトウェア, つまり一言でいえば「難しい」ソフトウェアを構築し検証するための根幹技術を, プログラミング言語を軸足として推進している.

当研究室で特に意欲的に取り組んでいる領域は,

  • 並行性や非決定性をもつソフトウェア(並列・分散処理と関連),
  • アルゴリズム未確立領域のソフトウェア(人工知能・探索技術と関連),
  • 連続量を正しく扱う必要のあるソフトウェア(ハイブリッドシステム, より広くはサイバーフィジカルシステムと関連)

である.これらの領域では, 通常のプログラミング言語と方法論で十分な機能,性能, 信頼性をもったソフトウェアを構築することが大変困難であり, 研究室が最も得意としているプログラミング言語分野のこれまでの蓄積を土台に, 新たな計算モデル,言語,実装技術, 検証技術の開拓に取り組んでいる.

これまでの最も重要な貢献は, 第五世代コンピュータプロジェクトにおける 並行論理プログラミング・パラダイムの確立とその後の深化であった. さらに2002年からは, 並行論理プログラミングの特徴を一部引き継いだ, 階層グラフ書換えに基づく並行言語モデル LMNtal (elemental と発音) の開発を行っている.LMNtal は, 並行性と非決定性をもつ多数の計算モデルの統合を目指すとともに, プログラムの実行技術と検証技術の統合も目指し, 最近はシステム検証のためのモデル検査器としても大きく発展しつつある.

研究室を統括する上田は, 論理プログラミングの分野で永く国際的に貢献してきたが, そこから派生し急発展してきた制約プログラミングの応用にも取り組んでいる.制約プログラミングは, 人工知能分野のホットな技術の一つとなっている.最近では, 制約概念に基づいてサイバーフィジカルシステムをモデリングし検証するための言語と処理系の確立に力を注いでいる.

上記の高水準言語の実行系・検証系の研究と構築にあたっては, 最近のコンピュータおよびプロセッサアーキテクチャの特徴を生かすべく, 並列実行を「当たり前の技術」として常に念頭においており, 高性能並列計算機を用いた検証技術, すなわち高性能検証技術の観点からの研究も推進している.

当研究室の研究は, アーキテクチャ層とアプリケーション層を結びつける核としてのプログラミング言語の役割を重視しつつ, プログラミング周辺技術と他層の技術との結びつきを追求している.また, 情報科学では理論研究と実践研究とが乖離する傾向が大変強いが, 両者が有機的な結びついた研究を常に心がけている.

過去および現在の主要プロジェクト

上田研究室は, 下記(企業との共同研究は除く)のような研究プロジェクトに関係してきています.上記の研究の多くも, これらの枠組の一環として行なわれています.
  • 「強力なデータ構造と並行性をもつ高水準言語の解析・実装技法の多面的開拓」(代表者)
    • 科学研究費基盤研究(C)(2023年度〜2025年度)
  • 「先進的プログラム構築方法論に支えられた高機能な3D印刷造形技術の開拓」(代表者)
    • 科学研究費挑戦的研究(萌芽)(2018年度〜2021年度)
  • 「プログラミング言語技術との融合による高水準モデリング言語の進化と展開」(代表者)
    • 科学研究費基盤研究(B)(2018年度〜2020年度)
  • 「実数と時間の概念を備えた汎用高水準プログラミング言語」(代表者)
    • 科学研究費挑戦的萌芽研究(2015年度〜2017年度)
  • 「検証系を備えた高水準モデリング言語処理系の実装技術の深化」(代表者)
    • 科学研究費基盤研究(B)(2014年度〜2016年度)
  • 「検証技術と非標準型体系を用いたモデル検査器コンパイラの進化的発展」(代表者)
    • 科学研究費挑戦的萌芽研究(2012年度〜2014年度)
  • 「高性能検証系を統合した高水準モデリング言語処理系の構築」(代表者)
    • 科学研究費基盤研究(B)(2011年度〜2013年度)
  • 「高水準ハイブリッド制約モデリング言語とその高信頼実装」(代表者)
    • 科学研究費基盤研究(B)(2008年度〜2010年度)
  • 「情報爆発に対応する高度にスケーラブルなソフトウェア構成基盤」
    • 科学研究費特定領域研究「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」(2006年度〜2010年度)
      計画研究A02班(東京大学,京都大学,東京工業大学と共同)
  • 「スケーラブル統合プログラミング言語モデル LMNtal の実用化」(代表者)
    • 科学研究費基盤研究(B)(2004年度〜2006年度)
  • 「構造的分子計算理論−自律的計算系の解析と設計のための基礎理論」(最終年度代表者)
    • 科学研究費特定領域研究(B)「分子プログラミング」(2002年度〜2006年度)
      計画班(慶応義塾大学,電気通信大学, 東京医科歯科大学と共同)
  • 「計算連続体に基づくソフトウェア実現法」
    • 科学研究費特定領域研究(C)「ITの深化の基盤を拓く情報学研究」(2001年度〜2005年度)
      研究項目A01計画班(京都大学,東京大学と共同)
  • 「並行論理プログラミングに基づく広域分散計算パラダイムの構築」(代表者)
    • 科学研究費基盤研究(C)(1999〜2001年度)
  • 「発展可能ソフトウェア構築方法論の研究」
    • 文部省特定領域研究「発展機構を備えたソフトウェアの構成原理の研究」(1997〜1999年度)
      計画班Cのサブテーマ
  • 「広域情報の実時間アクセスのためのアーキテクチャとソフトウェア」
    • 並列・分散処理研究推進機構(PDC)(1997〜1999年度)
      カテゴリー5:「実時間・マルチメディア技術」のサブテーマ
  • 「統合並列処理に関する研究」
    • IPA(情報処理振興事業協会)創造的ソフトウェア育成事業(1996年公募分)
    • 東京大学,東京理科大学,日本大学,ブリストル大学, NEC情報システムズ,三菱総合研究所との共同研究
  • 「並行論理プログラミングにおける静的モード体系の応用的側面に関する研究」(代表者)
    • 科学研究費基盤研究(C)(1995〜1997年度)
  • 「KL1プログラム静的解析系」
    • 日本情報処理開発協会 先端情報技術研究所(AITEC)
      先進的ソフトウェア資源拡充のための委託研究(1993〜1998年度)
Last update: March 1, 2023
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